NPCの名前
NPCのPOW
 
NPCの一人称
NPCとPCの関係
PCから見たNPCの続柄・関係

※ページのコンテンツを全て表示します。
ネタバレを含む為、KPレスの場合は
押さないでください。

概要

システムCoC6版
推奨自害しない気持ち、ひとり遊びするメンタル
舞台クローズド
プレイ人数1人(KPレスソロ 又は ロストKPCを出してのタイマン)
プレイ時間30分~ ※RP、出目次第
ロスト過度な低SANの場合あり
後遺症いずれの生還エンドでも確定あり
PC条件他者の死亡によって救命された経験のあるPC(ロストPC不可)、継続推奨
SAN過度な低SANの場合エンドによってただSANが減って終わるかロストします

SAN回復としても扱えるシナリオではありますが、一切全く優しくない上に胸糞の悪いシナリオです。
場合によって回復しないこともあり得る上、(低SANで来た場合)実質継続できないレベルまでSANが減ることもある為、
ふかふかの気持ちでSANを回復させたい方は絶対にやめた方がいいです。
タイマンの場合、KPCのロスト救済要素はありません。

また、本シナリオは特定の思想・団体・事件等を推奨および支持するものではありません。
フィクションとしてお楽しみください。

クレジット

本シナリオは”home-watch”作『SCP-268-JP』の二次創作です。
また、CC BY-SA 3.0に基づき作成されています。

SCP-268-JP - 終わらない英雄譚
著者home-watch
URLhttp://scp-jp.wikidot.com/scp-268-jp
作成年2014


事前準備・遊ぶ前に

PCを自己犠牲により救命した経験のある死者NPC(タイマンの場合庇ってロストしたKPC)が1名必要。
シナリオ固定のNPC等で外部シナリオに持ち出せない場合は、容姿を識別できない”黒い影”として扱ってください。
名前等も出さないようお願いします。
(容姿を想起させる描写がある場合、「黒い靄に遮られ、姿を認識できないが、あなたは本能的に彼だとわかる」等と
適宜差し替えてください。)

  • NPCのPOW(ない場合、シナリオ開始前に3d6で算出してください)
  • NPCの口調
  • NPCの一人称
  • NPCとPCの関係、職業等

  • 名前を出して問題のないNPCの場合、上記情報が本シナリオを遊ぶ際に必要です。

    <>

    および

    《》

    はダイスの指定です。
    また本シナリオでは、一時的、不定問わず発狂はありません。
    クリティカル、ファンブルはクリア後に処理がある為、

    <>

    ダイスロールのCF回数をメモしておいてください。

    タイマンで回す場合、KPは先にシナリオ背景をお読みください。


    シナリオを遊ぶ

    序章

    ——— 目を、覚ます。
    真っ先に網膜を刺激したのは、眩い白色だ。
    瞼に遮られ、暗闇を漂っていた意識に入り込んだ光が酷く眩しい。
    覚醒していく思考と共に、それが白一色で統一された部屋の明るさ—— 反射光であることを理解する。

    視認する限り、何の変哲もない白い部屋だ。
    しかし視線を巡らせてみても家具等の類もなく、窓や、扉も見当たらない。
    天井だけがなんだか、少し、遠い気がする。
    そうして状況を認識していれば、背中から伝わる冷えた温度で自身が床に横たわっているのだと気付き、起き上がるだろう。

    手をついて身を起こそうとして、そこでふと、冷たくも温かくもない、かさついた感触が指先を掠めた。
    まだ何となく怠い頭を振り払って、そちらへも視線を向ける。

    そこには、真っ白な床にコントラストが映える、黒い革表紙の本が落ちていた。


    黒い革表紙の本

    ▼黒い革表紙の本
    闇を煮詰めたような漆黒の装丁に、金の箔押しで表題が刻まれている。
    『命を懸けて(NPCとPCの関係)を救った勇敢な性の英雄譚』とある。
    ぱっと見ただけでも読破するには手こずりそうな、分厚い本だと分かる。

    ページを捲る、乾いた音が静まり返った室内に響く。
    1ページ目は序章と書かれているが、大分掠れてしまっていてうまく読めない。

    <図書館>

    or

    <母国語>




    成功
    失敗

    図書館or母国語:成功

    かろうじて概説を読むことが出来た。
    あなたがNPCに命を救われた状況を連想させるような内容が記されており、腹の底が冷えるような、嫌な感覚がある。
    そのまま読み進めようか、あるいは本を閉じてしまおうか。

    そう逡巡した時、ふと——強い力でいきなり突き飛ばされた。


    次へ

    図書館or母国語:失敗

    中身も掠れているならこのまま本を閉じてしまおうか。
    あるいは何か状況の手がかりでも掴めるなら読んでみようか。

    そう逡巡した時、ふと——強い力でいきなり突き飛ばされた。


    次へ

    序章:完結

    突然のことに受け身を取ることもままならず、あなたは身体を放り出す。
    不意に視界に影が落ちたことに気付き、瞬きすれば、そこは先程までの不可思議な空間ではなかった。
    手のひらが受け止めたざらついた土の感触、外気の匂い。
    屋外だと理解するよりも先に、記憶の引き出しが軋んだ音を立てた。
    いや、わざわざ思い出さずとも、あなたはこの景色を忘れたことはない。

    そこは、あなたを庇ってNPCが死んだ、あの場所だった。

    それだけではなかった。
    目の前には、死んだはずのNPCがいる。
    あの日と全く同じ場所で、同じ表情で、同じ格好で立っている。

    「危ない!!」

    そしてあの時と全く同じ言葉を、あなたに向けて、告げた。
    直後、は一挙一動違わず、あなたを庇い、あの日と同じ死を遂げる。

    嘲笑うかの如く、何一つ変わらない。
    何度も悪夢にまで見たかもしれない、脳裏に焼き付いて離れない光景だった。

    <SANc 0/1d3>




    思わず身を乗り出して、駆け寄ろうとしたかもしれない。
    けれどそれより先に、視界が歪む。

    ぐにゃり

       ぐにゃり、 と。

    歪んでいったのは視界ではなく、目の前の光景だと遅れて気づく。
    再び立ち会ったはずのNPCの亡骸は霧のように歪んで、解けて、その場から霞んで消えていく。


    次へ

    第1章

    はっと瞬きして、また瞼を開いた頃には再び光景が変わっている。
    しかし目の前には変わらずやはり、NPCがいた。
    はこちらへゆっくり振り返ると、少し困ったように眉を下げた。

    「何度経験しても、痛いね。あれは」

    の言う”あれ”が先程の光景を指しているのだと、何となく理解する。
    死んだはずのNPCが語り掛けてきたという奇妙な状況よりも、
    あの体験をの口から苦々しく告げられる事の方が辛いと感じるかもしれない。
    そんなあなたに気付いてかいないでか、は構わず続ける。

    「君を助けたことを後悔はしていないよ。きっと何度でも、同じようにすると思う」

    NPCは手に真っ黒な装丁の本を持っている。
    それはあなたが白い部屋で目覚めた際に見かけたものと同じものだ。

    見せて欲しい等と言うのであれば、は目を伏せて、「つまらないと思うよ」と言いながら渡してくれる。
    表題も同じもののようだ。
    ページを捲ってもやはり文字は掠れている。

    <目星>




    成功
    失敗

    目星:成功

    初めに見た時は白紙だったように思うが、序章の続きに第1章が書き込まれている。
    読み進めようとすると、トントン、とNPCに肩を叩かれる。

    はあなたに

    「そろそろ危ないよ」

    と短く告げる。
    何が、と問おうとした瞬間、その瞳に鋭い色が灯った。
    急に強い力で腕を引かれ、あなたは壁へとぶつかる。


    次へ

    目星:失敗

    ふと、NPCの瞳に鋭い色が灯った。
    急に強い力で腕を引かれ、あなたは壁へとぶつかる。


    次へ

    第1章:完結

    そういえば、認識していなかったが、ここは何処だろう。
    いやに暗くなった視界の中でNPCの方を伺えば、は不揃いな砂利の上に立っていた。
    茶色く錆びた梁のような何かが、その足元に真っすぐ敷かれていて、自分の立つ場所よりの立つ位置の方が多少高さがあるらしい。
    視界の暗さは、日陰だろうか、そんな状況把握に忙しない脳へ、不意に本能的な警戒音が届けられる。
    カン、カン、と規則正しくなる高い音。
    すぐ思い浮かぶのは黄と黒のストライプだ。赤いライトが、明滅する、あの。

    危険を理解するとともに、風を切る音が聞こえる。
    人を乗せた細長い箱が、地面を滑る音。重量を伴って、制止できず、近づいてくる音。

    が助けなきゃ、死んじゃうんだから」

    寂しそうに告げた声が鼓膜を揺らして、視界の先からNPCは消えた。
    代わりに酷い勢いで銀色の何かが滑り、流れていく、頬にびたり、と何かがぶつかった。濡れている。

    手を遣ると、べったりと、赤色がこびりついた。
    その色も、匂いも、良く知っている。

    はまた、あなたを庇って死んだのだ。

    <SANc 1/1d4>




    思わず顔を覆い、叫び声をあげそうになったかもしれない。
    けれどそれより先に、視界が歪む。

    ぐにゃり

       ぐにゃり、 と。

    歪んでいったのは視界ではなく、目の前の光景だと遅れて気づく。
    滑る銀色に付着した赤色は霧のように歪んで、解けて、その場から霞んで消えていく。


    次へ

    第2章

    鼓膜のすぐ傍で思い切り壁を殴りつけているような、けれど規則正しく鳴り続けるその音が自身の鼓動だと気付く。
    喘鳴を伴って吐き出される息も、自分の口から漏れている。
    そうして生を主張する自分自身の音色が、とにかく矢鱈と耳障りだった。

    眩む視界の中に、NPCの亡骸は見つからない。
    代わりとばかりにあなたを覗き込むのは、五体満足、健康そうなNPCだった。

    「大丈夫?酷い顔色だね」

    額に張り付いた髪と共に、はあなたの汗をぬぐう。
    その声色には責め立てるような色はなく、ただただ心配だと言った様子で、案じていた。
    あなたに差し出した手とは別の手には、やはり黒い本を持っている。


    「この状況について知っているか」等と尋ねる
    「それは何?」「本を見せて」等と尋ねる
    何もしない

    「この状況について知っているか」等と尋ねる

    NPCは本についても、状況についても「詳しくは知らない」と肩を竦めるばかりだ。

    「気になるなら、本を見てみる?」
    がこの状況についてわかっているのは、ただ繰り返すということだけだね」


    本を見る
    「仮に繰り返しても助けないでくれ」等と説得する場合

    <交渉技能>

    :成功

    何もしない /

    <交渉技能>

    :失敗


    「それは何?」「本を見せて」等と尋ねる / 本を見る

    序章の概説は、過去、あなたがNPCに命を救われた状況を連想させるような内容が記されていた。
    第1章には、ホームに転落したとある(PCの性別)を救った彼/彼女(PCから見たNPCの関係等)の勇姿を褒め称える内容が長々と記され、
    本に題されている『英雄譚』とは似つかわしくない、詳細な死に様まで表現されていることに吐き気がする。
    内容を読み進めていけば、第1章は先程見た光景をそのまま文字に起こしたと言えるほどそっくりの状況だ。

    本自体は分厚いが、1章より先は白紙になっている。


    「この状況について知っているか」等と尋ねる
    状況について既に聞いた上で説得したい場合

    <交渉技能>

    :成功

    何もしない /

    <交渉技能>

    :失敗


    交渉技能:成功

    あなたが助けなくて良い、もうしないでくれ、等そんな言葉を掛けたのであれば、はさらに困った表情になるだろう。

    「でも…」

    と、口を開きかけ、噤む。

    NPCのPOW*5




    成功
    失敗

    第2章:完結(何もしない / 交渉技能:失敗)

    NPCは曖昧に笑って、あなたを見据えた。
    あなたが口を開こうとすると、突如、すすり泣くような、耳障りに金属が擦れる音が、頭上から降ってくる。
    次いで、ガラガラと、重量を増した音が、近づいてきた。

    反射的に体を動かそうとして、それよりも早くNPCに手を引かれる。
    今し方あなたが居た場所に立ち代わったNPCは、未だ曖昧に笑っている。
    その緩やかな笑みは、次の瞬間。

    無数の鉄筋に圧し潰され、呑まれていった。

    鼻腔に纏わりつく鉄錆の匂い。
    じわりと地面に広がった赤い水たまり。
    遠くで聞こえる悲鳴、パトカーの音。
    情報ばかりが脳を刺激するが、それらを噛み砕いて処理する余裕がない。

    <SANc 1d2/1d5>




    否、受け入れたくないのだ。
    何度も、何度も、あなたを庇って、死を享受するNPCの姿を。

    そしてまた、視界が歪む。

    ぐにゃり

       ぐにゃり、 と。

    何度か経験しても、視界ではなく、目の前の光景が歪んでいるのだということには遅れて気づく。
    思考が麻痺してしまっているようだ。
    NPCの死体はまた霞んで、霧のように消えていった。


    次へ
    SANが0以下になった

    第2章:完結(NPCのPOW*5:成功)

    続きを聞こうと、に近づこうとすれば、ふとNPCは顔を上げて、あなたの手を引く。
    同時に、すすり泣くような、耳障りに金属が擦れる音が、頭上から降ってくる。
    次いで、ガラガラと、重量を増した音が、近づいてきた。

    今し方あなたが居た場所に立ち代わったNPCは、無数の鉄筋に圧し潰され、呑まれていった。

    鼻腔に纏わりつく鉄錆の匂い。
    じわりと地面に広がった赤い水たまり。
    遠くで聞こえる悲鳴、パトカーの音。
    情報ばかりが脳を刺激するが、それらを噛み砕いて処理する余裕がない。

    <SANc 1d2/1d5>




    否、受け入れたくないのだ。
    何度も、何度も、あなたを庇って、死を享受するNPCの姿を。

    そしてまた、視界が歪む。

    ぐにゃり

       ぐにゃり、 と。

    何度か経験しても、視界ではなく、目の前の光景が歪んでいるのだということには遅れて気づく。
    思考が麻痺してしまっているようだ。
    NPCの死体はまた霞んで、霧のように消えていった。


    次へ
    SANが0以下になった

    第2章:完結(NPCのPOW*5:失敗)

    続きを聞こうと、に近づこうとすれば、その瞳は寂しげな色を湛えた。
    あなたに手を伸ばそうとして、そして諦めたように下ろす。

    「……わかった」
    「………じゃあ、君は……ここで死んじゃうんだね」

    突如、すすり泣くような、耳障りに金属が擦れる音が、頭上から降ってくる。
    次いで、ガラガラと、重量を増した音が、近づいてきた。

    少し離れた場所で、NPCは悲しそうにあなたを見つめている。
    の瞳に鈍い銀色がちらちらと反射して、あなたの視界も同じ色が埋め尽くしていって、そうして、

    腕が、脚が、腹が、背が、熱い、熱い熱い、熱い、熱い熱い熱いあついあつい!!!!!

    真っ先に感じ取ったのは、激しい熱さだ。
    突然燃え盛る火の中に放り込まれたかのような、耐え難い温度が身体を這う。

    悲鳴が喉を通り抜けようとして、代わりに湿った感触と、やはり熱さがこみ上げる。
    口の端から何やら液体が垂れている。
    視界の端で、掲げようとした右腕がひしゃげているのに気づいて、そこでようやく、脳が痛覚を正しく受け取った。

    燃えるような熱さは、痛みだった。
    身体のあちこちを、太い鉄骨が貫いていたのだ。
    助けを求めるまでもなく、自身が死に抱かれることを覚悟する。

    <SANc 1d3/1d6>




    そしてまた、視界が歪む。

    ぐにゃり

       ぐにゃり、 と。

    今度ばかりは、正しく視界が歪んでいる。
    自身の身体が霧のように段々と実態を失くして、溶けていく。
    視界の先のNPCは、やはり悲しそうな表情をしていた。


    ???へ

    第3章

    ちらちらと頬を舐めるように火の粉が舞っている。
    籠った熱気が酷く暑くて、じんわりと身体中に汗をかいていた。
    ここがどこかと認識するより先に、目に留まったのはやはりNPCの姿だ。
    オレンジ色に照らされたの頬からぽた、ぽた、雫が垂れ落ちている。

    「何度繰り返すんだろうね」

    独り言のようには呟いた。
    手には最早見慣れてきた、黒い本を持っている。

    「ここではゆっくり内容を確かめている時間もなさそうだ」

    そう言っては緩くこちらを見つめてきた。


    「もう助けないでくれ」等と説得する場合

    <交渉技能>

    :成功

    何もしない /

    <交渉技能>

    :失敗


    交渉技能:成功

    あなたが助けなくて良い、もうしないでくれ、等そんな言葉を掛けたのであれば、は眉を下げて目を伏せる。

    NPCのPOW*4




    成功
    失敗

    第3章:完結(何もしない / NPCのPOW*4成功)

    NPCはふっと顔を上げて、真っすぐにこちらを見遣る。
    その視線に、何だか嫌な予感がした。
    思わずの手を引こうとして、しかしそれより前に後方へドン、と突き飛ばされる。

    引火して黒く焦げた木の柱が、ボロボロに崩れ切った煉瓦が、視界を遮っていく。
    しかしあなたがそれらに圧し潰されることはない。
    舌なめずりするような真っ赤な炎に呑み込まれることもない。
    またしても、それらを一身に受けたのはNPCだった。

    <SANc 1d2/1d5>




    そしてまた、目の前の光景は歪む。

    ぐにゃり

       ぐにゃり、 と。

    断絶され、が亡骸になっているかもわからないが、燃え盛る建物から立ち昇る煙と共に、
    黒い霧のような何かが視界の先で解けていった。


    次へ
    SANが0以下になった

    第3章:完結(NPCのPOW*4失敗)

    NPCはふっと顔を上げて、揺れた瞳でこちらを見遣る。

    「このままどちらも逃げないで、一緒に終わってしまったら……どうなるんだろうね」

    その声色には諦めと、悲しみと、疲労が滲んでいた。
    あなたは何も言えずにいたか、はたまた声を掛けようと口を開いたかもしれない。

    しかし行動を起こす前にバキ、バキ、と乾いた何かが割ける音、ごう、ごう、と勢いを増した炎の音、
    がら、がら、と硬く雪崩落ちる音の合唱が響いて、掻き消される。
    焼け焦げて火を伴った瓦礫があなたたちの元へと降りかかる。
    舌なめずりするような真っ赤な炎の中へ、呑み込まれていく。

    自身が死に抱かれることを覚悟する。

    <SANc 1d3/1d6>




    そしてまた、視界が歪む。

    ぐにゃり

       ぐにゃり、 と。

    今度ばかりは、正しく視界が歪んでいる。
    自身の身体が霧のように段々と実態を失くして、溶けていく。
    視界の先のNPCは、やはり悲しそうな表情をしていた。


    ???へ

    第4章

    ちゃぷ、ちゃぷ、と足元から響く水音で意識が引き戻される。
    服の裾が濡れている感覚があり、肌に纏わりついて酷く不快だ。
    目の前にはやはり、NPCの姿がある。
    そのことには最早驚きはないものの、次は、と思わず構えてしまうかもしれない。

    はまたこちらをじっと見つめて、

    「終わらないね」

    と寂しそうに漏らした。
    右手には相変わらず黒い本が収まっている。


    「本を見せて」等と声を掛ける
    「もう助けないでくれ」等と説得する場合

    <交渉技能>

    :成功

    何もしない /

    <交渉技能>

    :失敗


    「本を見せて」等と声を掛ける

    本のタイトルは変わらない。
    『命を懸けて(NPCとPCの関係)を救った勇敢な性の英雄譚』とある。

    序章の概説は、過去、あなたがNPCに命を救われた状況を連想させるような内容だ。
    第1章では、ホームに転落したとある(PCの性別)を救った彼/彼女(PCから見たNPCの関係等)の勇姿を褒め称え、
    第2章では、落下してきた鉄骨から(PCの性別)を庇って亡くなった性の行動がいかに素晴らしいか、
    第3章では、燃え盛る建物から身を挺して(NPCとPCの関係)を逃がした性への賛美が綴られていた。

    本に題されている『英雄譚』とは似つかわしくない、詳細な死に様まで表現されていることに吐き気がする。
    それどころか、これまであなたがこの悪夢で見てきた光景がありのまま記されており、
    そしてどれもNPCを想起させる性を英雄的に扱っては美談として締めくくられていた。

    本自体は分厚いが、3章より先は白紙になっている。


    「もう助けないでくれ」等と説得する場合

    <交渉技能>

    :成功

    何もしない /

    <交渉技能>

    :失敗


    交渉技能:成功

    あなたが助けなくて良い、もうしないでくれ、等そんな言葉を掛けたのであれば、は酷く悲しそうな表情になる。

    NPCのPOW*3




    成功
    失敗

    第4章:完結(何もしない / NPCのPOW*3成功)

    NPCは徐に顔を上げて、そして決意するような表情で、再びあなたを突き飛ばした。
    バランスを崩した身体はあっけなく傾き、滑るように下方へと転がっていく。

    頭上で、バタン!と固く扉が閉められるような音がした。
    続いて、どうどうと激しく水が流れ込む音。
    見に行かずとも、水嵩が増したことは明らかだった。

    慌ててあなたはを救い出す方法を探すが、ふいに視界の端で黒い靄が解けていくのが見えた。
    その靄は先程までNPCが居た方向から漂っており、これまで散々見せつけられた悪夢から、その”靄”がの死を意味することを理解してしまう。
    何度も、何度も。
    はあなたを庇って亡くなるのだ。

    <SANc 1d2/1d5>




    そしてまた、目の前の黒い靄はまた歪む。

    ぐにゃり

       ぐにゃり、 と。

    恨めしい程に網膜に焼き付くその影を見つめながら、あなたの意識は次第に遠ざかっていく。


    次へ
    SANが0以下になった

    第4章:完結(NPCのPOW*3失敗)

    NPCは徐に視線を下げて、そしてその顏に諦めを滲ませた。

    「ああ……迷ってたら、間に合わなくなっちゃったね」

    絶望と、疲労と、悲しみと、負の感情を無理矢理かき集めて混ぜ合わせたような悲痛な声色だった。
    そしてその声は次第に大きくなる水音に呑まれていく。

    見れば、足元で揺れていた水面が急に嵩を増し、身体の自由が奪われかけていた。
    思わず抵抗しようと藻掻くかもしれないが、瞬間、全身は濁流へと流し込まれる。
    まるで急に潮が満ちた夜の海のようだ。
    宙へ投げ出されるような感覚、つま先は地面を離れ、浮遊感とは裏腹に、纏った衣服が酷く重い。
    息を吐き出せば泡ばかりが立ち、失った分の酸素を吸い込むことはできない。
    段々と、意識も遠ざかり、くらくらしてくる。

    自身が死に抱かれることを覚悟する。

    <SANc 1d3/1d6>




    そしてまた、視界が歪む。

    ぐにゃり

       ぐにゃり、 と。

    今度ばかりは、正しく視界が歪んでいる。
    自身の身体が霧のように段々と実態を失くして、溶けていく。
    視界の先のNPCは、やはり悲しそうな表情をしていた。


    ???へ


    第5章

    何度目になるだろうか。
    ふっ、と意識が浮上する。

    見渡せば、今度は灰色のコンクリートに囲われた、無機質な部屋だ。
    中央に白い机、その上に小瓶が置かれており、他に家具等は見当たらない。
    窓、扉もないようだ。

    隣を見遣ればNPCが立っている。
    は困ったように眉を八の字にした。

    「今度はなんだろうね」

    表情と声色に諦観が滲む。
    あなた自身も、一体どれだけ繰り返すのだろう、と辟易していたかもしれない。


    小瓶を調べる


    小瓶

    手のひらに収まる程度のガラス瓶だ。
    無色透明の液体が入っている。

    <薬学>

    or

    <聞き耳・知識/2>複合ロール



    成功
    失敗


    薬学or聞き耳・知識/2:成功

    仄かに甘酸っぱい、オレンジやアンズのような匂いが鼻につく。
    この液体の匂いは、よくアーモンド臭に例えられるシアン化カリウムだということがわかる。
    また、瓶の下には

    『どちらかが飲まなければ終わらない』

    そう書かれたメモが置かれている。

    <POW*3>



    成功
    失敗


    薬学or聞き耳・知識/2:失敗

    瓶の中身はわからなかったが、下に

    『どちらかが飲まなければ終わらない』

    そう書かれたメモが置かれていることに気付く。

    <POW*5>



    成功
    失敗


    第5章:完結(POW成功)

    意を決して、小瓶に口づける。
    鼻腔を花のような甘酸っぱさが突き抜けていく。
    その香りに任せて、ぐい、と一思いに飲み込んだ。
    液体は重力に従ってあなたの喉へと流れ込むだろう。

    次第に、ガンガンと打ち付けるような頭痛に苛まれる。
    足元がおぼつかず、酷い目眩で立っていることもままならなくなった。
    喉に流し込まれたのは液体ではなく、松明なのではないかと錯覚するほど、焼けるように痛む。
    思わず咳き込めば、余計に気道が圧迫されたように感じて、か弱い喘鳴だけがひゅう、ひゅうと零れた。

    荒くなっていく呼吸音が鼓膜を揺らす、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うる さ い、 う る、 さい!!!

    その音が身体中の痛覚を鋭くする。
    焦るように早くなっていく脈が、不規則に空気を乱す息が、
    自身に明確な死を手招きしているようだった。

    <SANc 1d3/1d6>




    そして生理的な涙で濡れきった視界がようやく歪む。

    ぐにゃり

       ぐにゃり、 と。

    今度ばかりは、正しく視界が歪んでいる。
    自身の身体が霧のように段々と実態を失くして、溶けていく。
    視界の先のNPCは、泣きそうな表情であなたをただ呆然と見ていた。


    ???へ


    第5章:完結(POW失敗)

    小瓶を飲み干そうとして、無意識に手が震える。
    つい、躊躇ってしまった。
    自分の代わりにNPCは何度も、何度も死を繰り返していると言うのに、あなたは怖いのだ。
    ぐっと瞼を固く閉じて、再度口に運ぼうとすれば、ふと手のひらに熱を感じる。
    見ればNPCがあなたの手を包み込むように握りこんでいた。

    「ごめん………ごめんね、……がやらなきゃ、君は死んじゃうのに」
    「わかってるのに、でも、もう………終わりたいんだ」

    ははらはらと涙をこぼしながら、あなたの唇に小瓶の縁を押し付ける。
    そして、そのまま手を傾けて、液体は重力に従ってあなたの喉へと流れ込んで来た。

    次第に、ガンガンと打ち付けるような頭痛に苛まれる。
    足元がおぼつかず、酷い目眩で立っていることもままならなくなった。
    喉に流し込まれたのは液体ではなく、松明なのではないかと錯覚するほど、焼けるように痛む。
    思わず咳き込めば、余計に気道が圧迫されたように感じて、か弱い喘鳴だけがひゅう、ひゅうと零れた。

    荒くなっていく呼吸音が鼓膜を揺らす、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うる さ い、 う る、 さい!!!

    その音が身体中の痛覚を鋭くする。
    焦るように早くなっていく脈が、不規則に空気を乱す息が、
    自身に明確な死を手招きしているようだった。

    <SANc 1d3/1d6>




    そして生理的な涙で濡れきった視界がようやく歪む。

    ぐにゃり

       ぐにゃり、 と。

    今度ばかりは、正しく視界が歪んでいる。
    自身の身体が霧のように段々と実態を失くして、溶けていく。
    視界の先のNPCは、ずっと泣きながら謝っていた。


    ???へ


    ???

    ——— 目を、覚ます。
    真っ先に網膜を刺激したのは、眩い白色だ。
    瞼に遮られ、暗闇を漂っていた意識に入り込んだ光が酷く眩しい。
    覚醒していく思考と共に、それが白一色で統一された部屋の明るさ—— 反射光であることを理解する。

    何だか一番最初に目を覚ました時の状況によく似ている。
    背に冷えた感触があることから、また床に転がっているのだろう。
    身を起こそうとして、そこまでは本当に何もかも一緒だった。

    徐に、「やあ」と声を掛ける者さえいなければ。


    あなたに声を掛けてきたのは中性的な容姿の、男性、あるいは女性かもしれない、なんとも判断し難い人物だった。
    耳に届く声は春の陽だまりのように暖かで、宵の街をしっとりと見守る月のように静謐で、
    夢に誘われるかのような、不思議な響きを持っていた。

    辺りを見渡せど、NPCの姿はもうない。
    の代わりに、目の前の人物が黒い本を手にしていた。

    「事実を捻じ曲げ、冒涜するこんな代物は、なんとも気分が悪いね」

    そう言ってその人物—— 便宜上彼と表現しよう ——は乾いた音と共にページを捲った。
    箔押しされたタイトルは、あなたが最後に確認したものと内容が大幅に変わっており、
    『我が身可愛さに哀れな(NPCとPCの関係)を見捨てたクソ野郎の物語』とある。

    「私はね、嘘と言うものが一等嫌いだ。この世で最も許されざるものだと思っているよ」
    「そうあえて伝えた上で、君に問おう」
    「事実を捻じ曲げ、自身が代わりに死んだとして、英雄ごっこに浸りたいか?」
    「それとも、あるべき形に戻し、過去も現実も受け止めるか?」

    澄んだ湖に太陽を溶かし込んだような、はたまた夕暮れ時にそよめく黄金の稲穂のような、
    あるいは更けた夜空に点々と散らばった星屑のような……形容しがたい奇妙な虹彩で、彼はこちらをじっと見遣る。

    「金の斧、銀の斧みたいだね。正直者にはご褒美をあげよう」

    そうして、彼の瞳と唇は緩い弧を描いた。


    過去を否定するような回答をする(「NPCを庇った(あるいは共死にした)ことを現実として受け入れたい」等)
    ここで目覚めるまでの経験を否定、あるいは過去を肯定するような回答をする(「NPCに庇われた過去だけが真実だ」等)
    「あなたは誰?」「代わりにNPCは帰ってくるの?」等問いと関係ない質問をする

    過去を否定する

    あなたが偽りであっても過去を否定したい、あるいはこれまでくりかえし見てきた光景が真実である等と口にすれば、
    彼は緩めた表情を一気に険しくした。

    「そうか、そうか」
    「それならば、私も相応に対処しよう」

    肌を緊張が刺し、どことなく空気が痛いような気がした。
    実際身体は傷ついていないことから、それがプレッシャーによるものだと思考のどこかでは気付けるかもしれないが、
    冷えた彼の視線から目が離せないでいた。

    「……まあ、夢は夢だけれどね」

    反感は買うものじゃないよ、と彼は凍てついた声色で最後に言った。

    <1d100>




    SANが1以上ある:END-Bへ
    SANが0以下になっている:END-Cへ

    過去を肯定する

    あなたがこれまでの光景は所詮まやかしだ、あるいは自分にとっての現実は自身を庇ってNPCが亡くなったことだ等と告げれば、
    彼は満足そうに笑みを一層深くした。

    「そうか、そうか」
    「私はね、正直な人間は大好きだよ」

    口調は穏やかでなんとも柔和な印象ではあるが、どことなく厳かで、逆らってはならないような心地がした。
    あなたの緊張に気付いてかいないでか、彼はまた笑う。

    「そう緊張しなくていい。目が覚めても、君が正直者であってくれることは願っているけれどね」

    彼はあなたの髪を梳くと、安心させるようにそう言った。

    <1d100>




    END-Aへ

    問いとは逸れた質問を返す

    「質問に質問で返すのは頂けないね」

    彼は困ったように眉を下げた。

    「もう一度聞くよ」
    「事実を捻じ曲げ、自身が代わりに死んだという妄想で、英雄ごっこに浸りたいか?」
    「それとも、あるべき形に戻し、過去も現実も受け止めるか?」


    過去を否定するような回答をする(「NPCを庇った(あるいは共死にした)ことを現実として受け入れたい」等)
    ここで目覚めるまでの経験を否定、あるいは過去を肯定するような回答をする(「NPCに庇われた過去だけが真実だ」等)

    END-A

    ———緩く、意識を取り戻す。
    目を開けば、そこは見慣れた自室の天井だ。
    あの見知らぬ白い部屋ではない。

    なんだか酷い悪夢を繰り返し見ていたような気がするが、相反して心は軽やかだ。
    強制的に正気を引きのばされたような、そんな妙な心地がする。

    ★シナリオ開始時点のSAN値に戻してください。

    そこからC回数分SANをプラス、F回数分SANをマイナスしてください。
    (例:2C3Fの場合SAN【-1】)

    周囲を見渡しても、当然NPCの姿はどこにもない。
    はとうに自分を庇って亡くなったのだ。
    どう藻掻けど、その事実は変わらず、そして自分は受け入れたのだから。

    あなたの生は、今日もの犠牲の上に綴られ続けていく。


    【END:A】 生還

    ❖ クリア報酬
    SAN【+(完結章数)d5】
    (例:第3章まで完結していたら4d5)
    ❖ 後遺症 『正直者の英雄譚』
    嘘は嫌いなのだと告げた彼の瞳が脳裏にこびりついている。
    あなたは【1d3】ヶ月(またはセッション)の間、意図して嘘をつこうとするたびに

    <POW*3>

    ロールが必要となる。
    失敗した場合は真実を語らなければならないし、成功して嘘をついた場合即座にSANが【-1】される。
    気まぐれな神の温情を受けた代償だ。
    ❖ 後遺症 『自傷癖』※最後の1d100で5以下の出目だった場合のみ
    あの人の代わりに自分が死ねばよかったのだ、そんな後悔はどうしたってぬぐえない。
    またあの黒い本で、やり直せはしないだろうか。ついそんなことも考えてしまう。
    気付けばあなたは自傷に走ってしまうだろう。
    【30-CON】日間、病院で適切な治療を受ける必要がある。
    どうしても入院しない場合、1日1回<医学>ロールに成功することで落ち着かせることが出来るが、
    失敗した場合即座に自傷癖を発症する為、入院した方が賢明だろう。


    シナリオ背景

    END-B

    ———緩く、意識を取り戻す。
    目を開けば、そこは見慣れた自室の天井だ。
    あの見知らぬ白い部屋ではない。

    なんだか酷い悪夢を繰り返し見ていたような気がする。
    眠気覚ましも兼ねて顏でも洗おうと、あなたは洗面所へと赴くだろう。

    冷たい水で顔を濡らし、そして鏡へ向かうと、そこに映っているのは自分の姿ではなかった。
    一瞬、目の錯覚かと身を怯ませて、それでも恐る恐る覗き込めば、同じように怖々と向かい合う見知った人物がいる。
    瞬きの回数ひとつも寸分の違いなく、鏡から見つめ返すのは血に塗れたNPCの姿だ。
    の、最期、あなたを庇って亡くなった時の姿だった。

    SAN 【-1d8】


    そこからC回数分1ずつ免除、F回数分1ずつ固定値をつけてください。
    0を下回り、8を超える分は無視してください。
    (例:2C3Fの場合減少値【+1】)

    頬に触れてみれば、鏡の輪郭と手に伝わる感触が違うことから、恐らく姿かたちが変わったわけではないのだろうと憶測はつく。
    これが、あの男の言っていた”相応の対処”なのだろうか。

    夢から醒めた今となってはそれを知る術はないが、それはまやかしでもと欲張ったあなたに対する呪いのようだった。


    【END:B】 生還

    ❖ クリア報酬
    SAN【+(完結章数)d5】
    (例:第3章まで完結していたら4d5)
    ❖ 後遺症 『嘘つき野郎の笑えない喜劇』
    嘘は嫌いなのだと告げた彼の瞳が脳裏にこびりついている。それでもあなたはせめて夢の中だけは、嘘を真実として通したかったのだ。
    あなたは【1d3】ヶ月(またはセッション)の間、鏡、水、その他反射する物体を通して自分を視認できない。
    否、正確にはそこには、あなたの動きに合わせた何かは映っているのだ。
    右手を掲げれば同じように、首を傾ければ同じように、反射する物体に映るのはいつだってあの人の最期の姿だ。
    燃え盛る炎に包まれて、あるいは鉄骨に串刺しにされ、あるいは電車に圧し潰されている。
    その度に誰かに庇われて死なれるなど、もう二度と御免だと強く感じるだろう。
    不定の狂気【強迫観念:他者を庇う】を当該期間中発症する。
    ❖ 後遺症 『自傷癖』※最後の1d100で5以下の出目だった場合のみ
    あの人の代わりに自分が死んだことにしたい。
    そう告げたところで現実が変わるわけもなく、目覚めて残ったのは庇われて生き残った事実と、胸の冷えるような夢の記憶だけだ。
    後悔からか、気付けばあなたは自傷に走ってしまうだろう。
    【30-CON】日間、病院で適切な治療を受ける必要がある。
    どうしても入院しない場合、1日1回<医学>ロールに成功することで落ち着かせることが出来るが、
    失敗した場合即座に自傷癖を発症する為、入院した方が賢明だろう。


    シナリオ背景

    END-C

    ゆっくり、ゆっくりと意識が闇に沈んでいく。
    ぬるい夜の海に沈められているような、けれど身体の芯は冷え切っている。
    瞼が酷く、重い。
    感覚に従うまま、緩やかに視界を閉じていく。

    夢の中であれ、殺ぎ落された正気は戻っては来ない。
    ましてや、それを真実でありたいと望んだのはまぎれもなく自分自身だ。
    果たされる確信すらないままに、縋ってしまったのだ。

    自分の精神が、自分の肉体が、の犠牲が、過去と現実が、どうなってしまったのか。
    あなたがそれを知る術はどこにもない。

    ふわり、と。
    身体が浮遊した、気がした。
    果たしてその感覚は正確に認識できているものなのかどうかも、定かではない。
    掠れた視界は自分のものだろうか、それももうよくわからない。
    毎日目にする見知った誰かの四肢から、肉と骨が断たれていく。
    噛み砕かれていく。
    嚥下されていく。

    その様を、どこか他人事のように見ていた。


    【END:C】 永久ロスト

    ❖ クリア報酬
    なし


    シナリオ背景

    シナリオ背景

    本シナリオに関連する神話生物はアリエル(MM - P131)と黒い蓮(MM - P74)、
    黒幕は生贄を集めるどこかの狂信者。

    シナリオ内で登場する黒い本は『SCP-268-JP - 終わらない英雄譚』をモチーフにしたAFであり、
    所有者は本に塗布された黒い蓮の催眠により、自分を庇って亡くなったNPCが繰り返し自分を助けて亡くなり続ける悪夢を
    見ることとなる。
    この悪夢はNPCが救命を諦め、PCが犠牲になった時点で終了する。
    終了までの間で犠牲者の正気を削り、あわよくば廃人にして生贄にしてしまおうと企んでいるのが先述のどこかの狂信者。

    そこで悪夢が終了する時点に介入してきたのが真実の体現・アリエルである。
    彼は真実にのみ基づいて行動し、偽りには厳しい罰を与える為、PCが庇われた事実(過去)を否定したいと求める場合は
    特に手助けはしてくれないし、正気が残っていなければ放置された上PCは狂信者に生贄として回収され(END-C)、
    正気が残っていれば趣味の悪い置き土産(END-B後遺症)を置いていく。
    真実を認める、受け入れる場合は夢を夢として終わらせてくれる為、シナリオ開始時点でのSANに戻る(END-A)。

    夢から醒める場合(END-A,B共通)、黒い蓮の依存症判定(5%)が発生する為、5以下の出目の場合後遺症が追加となる。
    本シナリオは闇鍋でちゃぷちゃぷしたい方向けなので、救いは求めないで欲しい。


    ベースがSCPという自然法則に反した異常な物品(または現象、生物等)を扱う創作である為、
    入手経路等はあえて細かく設定していません。
    多分気づいたら手元にありました。


    あとがき

    さっくり闇鍋に浸かりてぇ~~~~~~~~~という不純な動機で書き始めた為色々なところが曖昧です。
    人を巻き込むのは、ちょっと……!と思い最後の良心で踏み止まった末のKPレスなので、
    タイマン改変可能とはありますが、信頼できる相手で回し回されしてください。
    とは言えよその子をお借りする場合は親御さんに許可は取ってくださいね。
    ややこしいシナリオ……。

    NPC(およびロストKPC)の救済改変は絶対にNGです。
    ただしシナリオの根幹を覆さない限りは周回、改変ご自由に。

    発狂・CF処理をしないのも、KPレス前提で作成した為なので、こだわったギミックというわけでは特にありません。
    この辺もご面倒であればご自由にどうぞ。

    こんなシナリオでロストなんか認めないぞ!!と言う場合は夢オチの更に夢オチで全部全部なかったことにしても大丈夫です。
    KPレスで、ロストするな……。
    塩梅は本シナリオをお読みになった皆様に一任致します。

    なお、事前準備にも記載しましたが、シナリオ固定のNPC等で外部シナリオに持ち出せない場合、
    お手数ですが適宜描写を差し替えてください。

    ご不明点がございましたら@FutonCoCまで。
    モチーフとさせていただいた『SCP-268-JP 終わらない英雄譚』およびSCP財団関連の解説を求める内容、
    どのシナリオのNPCなら可能か等といったお問い合わせはお答えしかねますことを、予めご了承ください。

    改めましてこの度は拙作をお手に取って頂きありがとうございました!
    どうぞこれからも良きTRPGライフを!


    2022.6.8 洋太

    本シナリオは、「株式会社アークライト」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
    Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved.
    Arranged by Arclight Inc. Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
    PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION


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