はじめに
タイマン~複数人版とは内容、シナリオ背景が若干異なります。ただし、おおよその内容は同じですのでご注意ください。
どちらも周回は可能です。
下記項目を設定してから遊んでください。
※設定は後からでもメニューで変更できます。
本編
日が落ち切って街に明かりが灯り始めた夕暮れ時。さて、今日の夕飯は何にしようかと思案しながら帰路についていた
あなた
の鼻腔を、ふと腹の虫が騒ぎ立てるような良い匂いが擽る。誘われるままに足を向けてみれば、大通りから1本外れた静かな通りにこじんまりとしたレストランが佇んでいた。
どうやら先程の匂いはここから漂って来ていたらしい。
カランコロン、と子気味良い入店ベルが鼓膜を揺らし、
あたりを眺めていれば、奥から「お好きな席へどうぞー!」と声が掛かる。
促されるまま席に着けば、程なくしてピッチャーとガラスのカップが運ばれてきた。
「ご注文はこちらのタブレットからお願い致します」
店員はにこやかな笑顔でテーブルに備え付けられたタブレットを示すと、厨房の方へ引っ込んでいく。
そう広くない店内から推測するに、従業員の人数も少ない……ともすれば、ワンオペで回しているのかもしれない。
閑古鳥が鳴いているとは言え、客にかかりきりと言うわけにもいかないのだろう。
あなた
を迎え入れたのは落ち着いた雰囲気の内装だ。あなた
以外の客はいないようでがらんとしているが、穏やかなオレンジの照明がもの寂しさを緩和していた。あたりを眺めていれば、奥から「お好きな席へどうぞー!」と声が掛かる。
促されるまま席に着けば、程なくしてピッチャーとガラスのカップが運ばれてきた。
「ご注文はこちらのタブレットからお願い致します」
店員はにこやかな笑顔でテーブルに備え付けられたタブレットを示すと、厨房の方へ引っ込んでいく。
そう広くない店内から推測するに、従業員の人数も少ない……ともすれば、ワンオペで回しているのかもしれない。
閑古鳥が鳴いているとは言え、客にかかりきりと言うわけにもいかないのだろう。
改めて周囲を見渡してみると、観葉植物がセンスよく配置されていたり、こだわったデザインの木製のテーブルと椅子もきちんと磨かれていたりと、インテリアに気を遣っているのだろうと感じる。
料理の味はまだ確かめていないものの、清潔感のある飲食店というのは心証が良い。
〈図書館〉or〈目星〉
料理の味はまだ確かめていないものの、清潔感のある飲食店というのは心証が良い。
探索可能箇所
観葉植物
〈目星〉成功
観葉植物に紛れて、店内の雰囲気にそぐわない置物を見つける。
思わず手を引っ込めてしまう。
触ってみる
触れてみると、なんとなく気味の悪い感覚がする。思わず手を引っ込めてしまう。
〈SANC 0/1〉
失敗
特に気になることはない。
タブレット
豊富なメニューが鮮やかな写真と共に並んでいる。〈図書館〉or〈目星〉
成功
メニューとは別に、店からのお知らせ一覧があることに気づく。
その中で最近更新されたらしい小コラムが目に留まった。
見れば、『食事と幸せホルモンについて』という見出しがある。
自律神経のバランスを整えたり、睡眠の質の向上、健康状態を良くする働きがあります。
セロトニンが多く含まれている食材はナッツ類やバナナ、加工された乳製品、カツオやマグロ等の赤身魚が挙げられます。
ビタミンB6、マグネシウムを含む食品はセロトニン生成に深く関りがあります。
このように食事と幸福感というものは密接しているのです。
その中で最近更新されたらしい小コラムが目に留まった。
見れば、『食事と幸せホルモンについて』という見出しがある。
『食事と幸せホルモンについて』
幸せホルモンと呼ばれるセロトニンとは、ストレスに対する効能がある神経伝達物質です。自律神経のバランスを整えたり、睡眠の質の向上、健康状態を良くする働きがあります。
セロトニンが多く含まれている食材はナッツ類やバナナ、加工された乳製品、カツオやマグロ等の赤身魚が挙げられます。
ビタミンB6、マグネシウムを含む食品はセロトニン生成に深く関りがあります。
栄養学の観点以外からでも、セロトニンと並ぶ幸せホルモンであるオキシトシンは「何を食べるか」ではなく
「誰とどんなふうに食べるか」が分泌に影響すると言われています。
つまり、より精神的な部分が作用するホルモンということです。
楽しい思い出を想起させる特別な料理を振舞う、親しい友人や恋人と食事を摂る等は効果的と言えるでしょう。
「誰とどんなふうに食べるか」が分泌に影響すると言われています。
つまり、より精神的な部分が作用するホルモンということです。
楽しい思い出を想起させる特別な料理を振舞う、親しい友人や恋人と食事を摂る等は効果的と言えるでしょう。
加えて、「美味しい食事を摂る」という行動は、人間の満足度に強く影響しており
セロトニンと並ぶ幸せホルモンであるドーパミンは
・ 食べ物を口に入れた時
・ 食べ物が胃に到達した時
の二度分泌されると言われています。
つまり、ドーパミンの分泌タイミングによって私たちの脳は二度「美味しい」と共に「幸せ」を感じているわけです。
セロトニンと並ぶ幸せホルモンであるドーパミンは
・ 食べ物を口に入れた時
・ 食べ物が胃に到達した時
の二度分泌されると言われています。
つまり、ドーパミンの分泌タイミングによって私たちの脳は二度「美味しい」と共に「幸せ」を感じているわけです。
このように食事と幸福感というものは密接しているのです。
失敗
どのメニューも美味しそうだ。
そろそろ注文をしよう。
あなた
はタブレットを操作して、料理を選ぶだろう。メニュー一覧
軽食
主菜
ごはん・パスタ
デザート
料理が上手く運べませんでした。
会計を済ませにレジカウンターへ向かえば、店員が申し訳なさそうに頭を下げてきた。
「すみません……変な料理を食べさせてしまって……」
「詳しくはお話しできないんですが、こちらの事情でして……その、お詫びとして、お代は結構です」
そう言われ、
〈聞き耳〉
「すみません……変な料理を食べさせてしまって……」
「詳しくはお話しできないんですが、こちらの事情でして……その、お詫びとして、お代は結構です」
そう言われ、
あなた
は厚意——と呼べるのかは定かではないものの——に甘え、店を後にすることになった。〈聞き耳〉
成功
ブン、と羽虫が羽ばたくような音が聞こえた気がした。
失敗
なにはともあれ、美味しい料理は食べれたのだ。
然程気にしなくても良いだろう。
然程気にしなくても良いだろう。
会計を済ませにレジカウンターへ向かえば、店員が「あ」と小さく声を漏らす。
店員はある一点を凝視しており、そちらへ
店員はある一点を凝視しており、そちらへ
あなた
も視線を向けてしまう。
なにはともあれ、美味しい食事にはありつけたのだ。
むしろ疲労による勘違いがあったのかもしれないと思えたほど、〝 まともな 〟料理は舌鼓を打つほどの美味しさだった。
いや、勘違いで片づけられるような異様さではなかったのは確かだが。
今は無事夕食を終えられたことを喜ぶべきだろう。
無事という表現も些かいびつではあるが、そう評するほかない。
おいしいごはんは、にんげんをしあわせにするらしい。
それには一応、同意できるだろう。
身体を巡るぽかぽかとした満足感と、振舞われた美味しい料理が連れて来た幸福感。
一日の終わりを包む幸せな感覚とともに、軽やかな足取りで
むしろ疲労による勘違いがあったのかもしれないと思えたほど、〝 まともな 〟料理は舌鼓を打つほどの美味しさだった。
いや、勘違いで片づけられるような異様さではなかったのは確かだが。
今は無事夕食を終えられたことを喜ぶべきだろう。
無事という表現も些かいびつではあるが、そう評するほかない。
おいしいごはんは、にんげんをしあわせにするらしい。
それには一応、同意できるだろう。
身体を巡るぽかぽかとした満足感と、振舞われた美味しい料理が連れて来た幸福感。
一日の終わりを包む幸せな感覚とともに、軽やかな足取りで
あなた
は帰路を辿ることになる。シナリオエンド
ごちそうさまでした!SAN回復〈1d3〉
後遺症『おいしいごはんって素晴らしい!』
ごはんがおいしいのは当たり前ではない。素晴らしいことだ。
探索者は〈1d3〉ヶ月の間食事に対する強い感謝を抱く。
場合によっては必要以上にチップを払いたがったりするかもしれない。
対象期間の間、レストランなどの食事の場、および厨房などの調理の場、
その他料理に関連する場所での探索で集中力を欠くため、
SANC以外のロールに【-10】が入る。
※発狂していた場合、任意で〈1d3〉ヶ月、下記後遺症を持ち帰っても構わない。
後遺症『おいしいごはんって素晴らしい!』
ごはんがおいしいのは当たり前ではない。素晴らしいことだ。
ミ=ゴとの遭遇で発狂した探索者は〈1d3〉ヶ月の間食事に対する強い感謝を抱く。
場合によっては必要以上にチップを払いたがったりするかもしれない。
対象期間の間、レストランなどの食事の場、および厨房などの調理の場、
その他料理に関連する場所での探索で集中力を欠くため、
SANC以外のロールに【-10】が入る。
シナリオ背景・あとがき
シナリオ背景
やあ!みんな大好きミ=ゴだよ!人間って食事によって幸福感を覚えるらしいって聞いたけど、そこんとこどうなの?
あ、ちょうどいいところにNPCが!
ちょっと協力してよ。
比較的ちゃんとしたやつ
本シナリオの黒幕はミ=ゴ(基.P191-192)、被害者は探索者とNPC・店員(レストランの店主)である。
運悪くミ=ゴと遭遇してしまった店員は、これまた運悪く目撃により一時的狂気・強迫観念を発症する。
遭遇した個体に特に敵意はなかったのだが、とにかくミ=ゴに従わなければ危険にさらされると思い込み、自らミ=ゴに対して協力を申し出てしまった。
ミ=ゴは非常に利己的な種族であるため罪悪感を抱くわけもなく、かつ発狂内容の都合が良かったことから
《恐怖の注入》(基.P256)を店員へ行い、発狂状態を引き延ばした上で店員を実験に付き合わせることとする。
実験内容は至ってシンプルに「食事と幸福感の因果関係の調査」である。
セロトニン(複数PL版)、あるいはドーパミン(1人版)の分泌によるといった医学的根拠はあるが、ミ=ゴは実際に人間の脳波を取った上で自分たちの技術に活用したいと考えたのだ。
そうして店員はひとりで切り盛りしていた自身の小さなレストランで、奇妙な料理を振舞うことになった。
(なお、元来の店員はごく一般的な倫理観と善性の持ち主であり、探索者へ害意は一切ない。)
見た目は普通の料理から味が一切しなくても幸福を覚えるのか、逆に醜悪な見た目の料理がとてつもなく美味しかったら?
とりあえず様々なパターンを試してみたいミ=ゴと、一時的とはいえ狂信者のようにミ=ゴに従う店員によって探索者の舌と胃は違和感ラッシュに見舞われるのである。
ちなみに味がない料理は寒天に、暗黒物質は本来の料理に《平凡な見せかけ》(基.P280)が掛けられているだけなので、安心して食してほしい。
悪戯に健康を害するんじゃない!
なお、店員と遭遇したミ=ゴはシナリオ中、レストランのインテリア(目星成功情報)に《平凡な見せかけ》(基.P280)によって擬態しており、探索者を観察している。
探索者が触れたりするのであれば違和感に気付けるかもしれないが、SAN回復版では退店時に聞き耳情報で羽音が聞こえるのみで、遭遇することはない。
通常版では会計時に遭遇することとなるものの、戦闘への発展などは想定していない。
ミ=ゴが満足するタイミングはPLが満足するまで。
SAN回復版では美味しい料理を食べた数だけその場で回復、通常版では妙な料理を食べた分だけSANCが発生する。
1回以上まともな料理を食べるか、「まともな料理を出せ」ボタンが発生している場合にエンドへ進むことが出来る。
(「まともな料理を出せ」ボタン、もといクレームボタンは、4回以上料理を注文している状態で、まともな料理にありつけた回数が1回以下の時に発生する)
好きに食事を摂りながらSAN回復、またはRPをするだけのシナリオである。
長々記載したが内容はないので好きに楽しんでほしい。
運悪くミ=ゴと遭遇してしまった店員は、これまた運悪く目撃により一時的狂気・強迫観念を発症する。
遭遇した個体に特に敵意はなかったのだが、とにかくミ=ゴに従わなければ危険にさらされると思い込み、自らミ=ゴに対して協力を申し出てしまった。
ミ=ゴは非常に利己的な種族であるため罪悪感を抱くわけもなく、かつ発狂内容の都合が良かったことから
《恐怖の注入》(基.P256)を店員へ行い、発狂状態を引き延ばした上で店員を実験に付き合わせることとする。
実験内容は至ってシンプルに「食事と幸福感の因果関係の調査」である。
セロトニン(複数PL版)、あるいはドーパミン(1人版)の分泌によるといった医学的根拠はあるが、ミ=ゴは実際に人間の脳波を取った上で自分たちの技術に活用したいと考えたのだ。
そうして店員はひとりで切り盛りしていた自身の小さなレストランで、奇妙な料理を振舞うことになった。
(なお、元来の店員はごく一般的な倫理観と善性の持ち主であり、探索者へ害意は一切ない。)
見た目は普通の料理から味が一切しなくても幸福を覚えるのか、逆に醜悪な見た目の料理がとてつもなく美味しかったら?
とりあえず様々なパターンを試してみたいミ=ゴと、一時的とはいえ狂信者のようにミ=ゴに従う店員によって探索者の舌と胃は違和感ラッシュに見舞われるのである。
ちなみに味がない料理は寒天に、暗黒物質は本来の料理に《平凡な見せかけ》(基.P280)が掛けられているだけなので、安心して食してほしい。
悪戯に健康を害するんじゃない!
なお、店員と遭遇したミ=ゴはシナリオ中、レストランのインテリア(目星成功情報)に《平凡な見せかけ》(基.P280)によって擬態しており、探索者を観察している。
探索者が触れたりするのであれば違和感に気付けるかもしれないが、SAN回復版では退店時に聞き耳情報で羽音が聞こえるのみで、遭遇することはない。
通常版では会計時に遭遇することとなるものの、戦闘への発展などは想定していない。
ミ=ゴが満足するタイミングはPLが満足するまで。
SAN回復版では美味しい料理を食べた数だけその場で回復、通常版では妙な料理を食べた分だけSANCが発生する。
1回以上まともな料理を食べるか、「まともな料理を出せ」ボタンが発生している場合にエンドへ進むことが出来る。
(「まともな料理を出せ」ボタン、もといクレームボタンは、4回以上料理を注文している状態で、まともな料理にありつけた回数が1回以下の時に発生する)
好きに食事を摂りながらSAN回復、またはRPをするだけのシナリオである。
長々記載したが内容はないので好きに楽しんでほしい。
あとがき
タイマン~複数人版 を改変してKPレス版として仕立て直しました。一部描写やシナリオ真相がやや変わっているものの、根本的には同じです。
シナリオタイトルが「食卓」と「嘱託(ミ=ゴの実験を手伝っているNPCの状況)」を掛けている点で、ダブルミーニングなのもタイマン~複数人版と変わりません。
KPレス版では探索者の〈幸運〉を判定値として、成功で普通の料理、失敗で味のしない料理、ファンブルで暗黒物質が出てくる仕様になっています。
デペロッパーツールで確認すると、判定値をこっそりログに書き出しているので、気になる方はF12キーを押してみてください。
(なお、初回のみ固定で味のしない料理が出てきます。)
また、PL人数によってシナリオ内で出る情報『食事と幸せホルモンについて』の内容に若干違いがあります。
1人版の情報はタイマン~複数人版の情報と異なるため、参考URLを追加しました。
加えて、SAN回復版では後遺症が確定になっていますが、ちょっと困るわ✋と言う場合は無視しても大丈夫です。
その他、料理のメニューが増えていたり、バージョンによってシナリオの処理が変わる部分がありますので、KPレスでもお楽しみいただけるのではないかなぁと思います。
(とはいえ寒天描写は全て同じです。)
そしてこれはあからさまな宣伝ですが、本編中の料理描写は作者の描写素材『飯テロ描写集』 から引用しています。
こちらも無配なので良ければどうぞ。
ご不明点がございましたら@FutonCoCまで。
改めましてこの度は拙作をお手に取って頂きありがとうございました!
どうぞこれからも良きTRPGライフを!
参考URL
医療法人社団 平成医会 『セロトニンの増加が心身に及ぼす効果』 より セロトニンについて医療法人福寿会 梅田診療所 季節情報誌 『うめしん』(H30 ホルモン) より オキシトシンについて
ナゾロジー おいしい食事を食べた時、脳は「2度」ドーパミンを得る より ドーパミンについて
※上記URLは本シナリオを執筆するにあたって参考にしたものであり、各医療法人や団体とは一切関係ございません。
また、情報の正確性を保証するものではないことをご留意の上、シナリオ中の情報はフィクションとしてお楽しみください。
2023/06/01 洋太
2023/06/02 脱字・スクリプト修正
2023/06/01 KPレス版改稿・公開
2022/12/19 CoC非公式シナリオ『しょくたく』頒布開始(タイマン~複数人版)
2023/06/01 KPレス版改稿・公開
2022/12/19 CoC非公式シナリオ『しょくたく』頒布開始(タイマン~複数人版)